大雨による水害、洪水、津波などで原付スクーターが水没、冠水してしまった、
とてもショックですよね。
私も津波で車とバイクが流されましたので気持ちは痛いほどわかります。
このページでは水没した時の対処方法とその後の行動、バイク屋での修理代などを解説していきます。
目次
原付が冠水したときの対処方法と修理代
当店があります仙台市宮城野区出花という場所は仙台港に程近く東日本大震災では津波被害を被った地域になります。
当時はライフラインや公共交通が麻痺し移動手段がない状態でした。
そのため水没してしまったバイクの修理依頼が殺到した記憶があります。
あの時の経験を元に水没した原付の対処方法をご紹介いたします。
海水に浸かったバイクは厳しい

震災当時,津波で水没した原付在庫。当店の在庫はほとんどがガレキ(廃車)になりました。
震災当時は津波にどっぷり浸かった原付だらけでしたが、経験上言いますと海水に浸かったバイクの復活は困難です。
やってやれないことはないですが金額がかかり過ぎるのとその後も次々に故障が出ます。
よほど思い入れがある車両や高額なバイク以外は海水への水没では諦めたほうが得策です。
このページでご紹介する対処方法は海水ではなく淡水(真水)に水没した場合になります。
水没した原付、まず何をする?
水に浸かった原付バイクを前にしたときまずやることは・・
一刻も早く水から出すことです!
バイクが水に浸かっていた時間によってどこまで水が入りこんでしまうかが決まります。
速やかに水から引き上げることを第一に考えてください。
(ただし身の安全が一番ですので危険な場合は原付を諦めて自分を守りましょう)
水に浸かった時間と高さが重要
次はどこまで浸かったか・何分くらい浸かったかを把握して記憶することです。
浸かった水の高さんによって対処方法が違ってきますし、時間によってどこまで浸透したかも変わります。
修理の際にバイク屋に的確な情報を伝えることは修理代を安く抑える秘訣ですのでしっかり覚えておきましょう。
絶対やっちゃだめな2つの行動
自分のバイクが水没して混乱しているのはわかりますが、ここは落ち着いて行動してください。
水没車にはやってはいけない事が2つありますのでご紹介します。
- スイッチをONにしてはダメ!絶対
- キックスターターもセルスターターもダメ!絶対
この二つは絶対に避けてください。
さらにバイクを壊す可能性があり、最悪火災になることもあります!
1、キーONダメ!電源いれちゃダメ!
水没、冠水したバイクを前にした時とりあえず無事がどうか確かめたい衝動にかられるはずです。
でも、あせってはいけません!
水没して水がどこまで浸入しているかわからない時はキーを回して電源を入れてしまうのは危険です。
電装系でショートを起こしたらさらに状況を悪化させます。
最悪の場合配線が燃えて火災になることもありえますので絶対に避けましょう。
2、エンジンをかけようとしてもダメ
水没車を何の対処もせずにエンジンをかけようとするのも絶対にやめましょう。
キーをONにするのはダメ!
セルスターターを押すのもダメ!
キックスターターもちろんダメです!
キックをするということは水をエンジン内にどんどん送り込むことになります。
運よく直るかもしれないバイクだったのに『自分が水を送ったことで廃車になる』
こんな悲劇はけして起こさないでください。
速やかにバイク屋に持ち込む
とにかく水没したときは水から引き上げ一刻も早くバイク屋で見てもらうのが一番です。
冠水車は時間との戦いもありまして、タンク内やエンジン内なども時間経過でどんどんサビが進んでしまいます。
自分でやる対処方法
水没車はプロに任せるのが得策だとお伝えいたしましたが、どうしても自分でなんとかしたい!
そんな方のために念のため応急的な対処方法をご紹介します。
- 全体的に泥汚れを洗い流す
- バッテリーボックスから水を抜く
- バッテリー端子を外す
- 燃料タンクから水を抜く
- メットインボックスから水を抜く
- エアクリーナーボックスから水を抜く
- 駆動系のケースから水を抜く
- マフラーから水を抜く
- ブレーキ回りの点検・乾燥・グリスアップ
- ミッションオイル交換
- エンジンオイル交換
- 電装系の点検・乾燥
最低限このくらいの作業が必要になります。
状況次第でこれ以外の作業も必要ですのでやはりバイク屋さんに任せるのをオススメします。
水没車の修理代
では実際にバイク屋に依頼した場合修理代はいくらくらいかかるのでしょうか。
状況を以下の4つに分けて目安金額をまとめます。
- 走行中に深い水溜りにはまりエンジンが止まった
- 駐輪中ステップボードくらいまで水没した
- 駐輪中エアクリーナーボックスより上まで水没した
- 駐輪中メーター上まですべて冠水した
※ただし金額は車種や水位や水没時間によって様々なのであくまでも目安金額とご理解ください。
走行中水たまりに入りエンストした場合
走行していて水の深さがわからず『エイ!行ってしまえ』とダイブした場合のお話です。
この場合すぐに車体を引き上げることが出来ればそこまで重症にはなりません。
水位がマフラーの排気口を越えてエンジンが止まりエアクリーナーからも水の混入が考えられます。
また点火部品あたりで漏電して一時的にエンストしただけの事もあります。
修理代は?
マフラーの水抜きとエアクリーナーの交換、バッテリーボックスの点検・水抜き程度で直る可能性があります。
修理代は3,000円~8,000円程度
※あくまでも一瞬、深めの水溜りに入った場合です。時間が長くなると色々な修理が必要になります。
駐輪中ステップボードくらいまで水没した

このくらいの水位です。
駐輪していて水没した場合でステップボードのあたりまで水位が上がったケースです。
この高さだとバッテリー回り、マフラー、駆動系、ブレーキ、ギアオイル、ホイルベアリング、スピードメーターギア、ECUなどの点検が必要になります。
修理代は?
ここまで点検数が多いと状況次第で価格は大きく変動します。
修理代は10,000円~50,000円程度
※エンジンには水が入っていなかった場合の価格です。これも完全に状況次第となりますので目安とご理解ください。
駐輪中エアクリーナーボックスより上まで水没した
エンジンまでどっぷり浸かった場合です。
浸かっていた時間によりますが修理はかなり高額になり、諦めざるをえないケースもでてきてしまいます。
バッテリー回り、マフラー、駆動系、ブレーキ、ギアオイル、ホイルベアリング、スピードメーターギア、エンジン、各種電装系など多くの点検が必要になります。
修理代は?
高額の修理を覚悟しなければなりません。
修理代20,000円~最悪の場合100,000円
※水没時間やその後の時間経過によって修理内容は変わります。
エンジンに水が入りサビ始めている場合はかなりの修理代がかかるので買ったほうが安いケースも十分でてきます。
駐輪中メーターまですべて冠水した
メーターの高さまで水位が上がるか、もしくは車体が倒れてしまいバイクの全てが水に浸かった場合です。
これもほんの一瞬であれば復活することもありますが、非常に厳しい状況です。
修理代は?
正直修理は厳しいかもしれません。メーターに水がチャプチャプ入ってしまっている状態なら残念ですが諦めるケースかと思います。
もちろん『いくらかかってもいいから直す、これは形見なんだ』とかのケースでしたら修理はするべきと思います。
ただコスパを考える場合は廃車にするのが得策だと言わざるを得ません。
修理不可の可能性大
以上が水没車の修理代の解説になります。
どちらにせよ速やかにバイク屋さんへ見積依頼をするのがベストです。
水没した原付の対処方法 まとめ
- 安全を確保しつつ、速やかに水から出す
- 水に浸かっていた時間と高さが重要なので覚えておく
- キーをオンにしては絶対にダメ!
- エンジンをかけようとしちゃ絶対にダメ!
- 速やかにバイク屋に持って行くのが得策
- 自分でやる対処はとにかく水を抜いて乾燥、オイル交換、グリスアップ
- 修理代は状況によって大きく変動する。
以上が原付水没車の対処方法になります。
大雨などの水害は事前の準備で防げる事もあります。
川の氾濫や津波など日ごろからもしものシミュレーションをして万が一のときに被害を防げるように準備しましょう。
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